1996 年 85 巻 10 号 p. 1668-1673
悪性腎硬化症は高度の高血圧のために腎の細小動脈に壊死などの強い病変が起こり,レニン分泌が亢進して高血圧がさらに進行し,悪性高血圧症候を示す.頭痛が強く,高血圧性脳症や急性左心不全などを併発するものが多い.有用な降圧薬がなかった頃は血圧をコントロールできず,予後が悪く,殆どの症例が2~3年で死亡した.近年は有用な降圧薬が開発され,悪性高血圧でも血圧をコントロールすることができるようになった.降圧薬療法の進歩により悪性高血圧に進行するものがほとんどなくなり,本症の予後は改善した.