工業化学雑誌
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酢酸鉛3水和物の熱分解
真鍋 和夫久保 輝一郎
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1966 年 69 巻 9 号 p. 1733-1736

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抄録

酢酸鉛3水和物の熱分解の過程を,示差熱分析,熱重量分析,X線分析,赤外分光分析,質量分析および化学分析などの方法で追跡した。
酢酸鉛3水和物の分解反応の示差熱分析図形は,試料充てん層の厚さにより著しい変動を示し,連続的に生起する二つの分解反応の結果として,1本の吸熱ピークが現われ,きわめて複雑な挙動を示す。
3分子の結晶水の離脱は約40℃から開始するが,脱水の過程に一つの未知水和物が生成する。
無水物は200℃以上で徐々に分解するが,分解する前に融解する。無水物の分解の過程には,二つの中間化合物が連続的に生成する。ついで金属鉛に分解し,空気中の酸素により酸化されて酸化鉛となる。この二つの中間化合物は3Pb(CH3COO)2・2PbOおよび2Pb(CH3COO)2・3PbOの組成をもつと推定される。

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