工業化学雑誌
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シュウ酸カルシウムの熱分解反応に対する塩素酸カリウム添加の効果
石井 忠雄鎌田 邦次古市 隆三郎
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1971 年 74 巻 5 号 p. 854-862

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抄録

CaC2O4・H2Oの熱分解反応に対するKClO3添加(0-15wt%)の効果を示差熱分析(DTA)・X線回折・IR分析を使用して研究した。DTA装置は標準室と試料室をOml/min(静的雰囲気)から400ml/min(流動層)の範囲にわたってガスが流れるようにしてあり,窒素,酸素,空気の3種のガスを用いた。さらに,高温X線回折装置により分解反応過程の中間生成物Mの挙動を研究した。次のような結果が得られた。
1)脱水反応(CaC2O4・H2O→CaC2O4+H2O):DTAの吸熱ピークはガスの流速の増大にともなって大きく低温側にずれた。KClO3を添加することや,雰囲気ガスの種類によっては影響されなかった。2)分解反応(CaC2O4→CaCO3+CO):純粋なCaC2Oaでは,460-480℃で現われる分解反応のDTA吸熱ピークは,雰囲気ガスの種類により大きく影響されるが,ガスの流速にはほとんど影響されない。試料にKCl03を添加すると,350℃付近に異常な発熱ピークが現われ,同じ温度で中間生成物MとCaCO3が生成する。CaC2O4-KClO3系の反応に対し次の反応機構が推論できた。
(a)KCl03→KCl+30*,5KC103→2KCl+3KClO4+30*,(b)xCaC2O4yO*→[xCaC204・yO*]→xCaCO3+yCO2+(x-y)CO,(c)2(x-y)CO+(x--y)02→2(x-y)CO2
ここで[xCaC2O4・yO*]は中間生成物M,O*は活性酸素である。

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