日本化學雜誌
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アルギニン含有ペプチドの坂口反応
石井 信一
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1960 年 81 巻 10 号 p. 1586-1588

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抄録

タンパク質やポリペプチドに含まれるアルギニン残基が,坂口反応において遊離アルギニンよりも低い呈色率を示すことは,従来から知られていた。この現象がペプチド中のどういう化学構造に由来するかを知るために,いろいろのアルギニン含有ペプチドの坂口反応呈色率をしらべた。Pro・Arg,Arg・Leu,Leu・Arg,Arg・Pheのようなアルギニン残基1個を含むペプチドの呈色率は・ほとんどアルギニンのそれと変わらないことがわかったが,2個以上含むペプチドすなわちArg・Arg(1),Arg・Pro・Arg(II)・Arg・Arg・Arg(III),Arg・Arg・Pro・Arg(IV)では,アルギニン1残基あたりの呈色率がアルギニンの86~60%で,しかもI>IV>II>IIIの順の大きさであった。各ペプチドの呈色の吸収曲線もしらべたが,いずれもアルギニンについて得られた吸収曲線とは違ったそれぞれの特長ある形を示していた。

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