日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1-ブタノールを結晶化調整剤として合成したアルミノフェリシリケートの触媒性能
川村 吉成河野 保男神徳 泰彦佐野 庸治高谷 晴生
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 1994 巻 12 号 p. 1060-1066

詳細
抄録

種々の結晶化調整剤を用いてアルミノシリケートおよびアルミノフェリシリケートを合成し,鉄,結晶化調整剤が触媒の物性およびメタノール転化性能におよぼす影響を調べた.1-ブタノールを用いた時に,ゼオライト中のAl,Fe含有量は他のゼオライトに比べて多くなった。また,その他の結晶化調整剤を用いた場合と異なり,鉄を添加しても結晶は4×9μmと大きく,格子欠陥の少ない結晶化度の高いゼオライトが得られることがわかった。
次に,メタノールからの低級オレフイン合成反応を行った結果,合成したすべてのアルミノフェリシリケートにおいても,鉄を添加すると活性は低下し,その形成される酸点のメタノール転化活性はA1単独の約1/5となった。また,1-ブタノールを用いた時には,他の結晶化調整剤に比べて(C2H4+C3H6)選択率が高く,鉄を添加しても(C2H4+C3H6)選択率の減少はわずかであったが,その他の結晶化調整剤を用いたゼオライトでは,(C2H4+C3H6)選択率,特にC2H4選択率がいちじるしく減少し,BTXを除くC6+炭化水素選択率が増加した。これらの理由について,酸性質,結晶化度,結晶の大きさ,結晶構造および反応温度の観点から考察した。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top