日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
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N-フェニルマレイミドの合成用担持触媒
喜多 裕一岸野 和夫中川 浩一
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1996 年 1996 巻 3 号 p. 269-274

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抄録

水と混じりにくい不活性有機溶媒中における N-フェニルマレイソアミド酸(PMA)の脱水閉環反応によるルフェニルマレイミド(PMI)の合成反応内容に関する考察から,PMIの収率向上のためには次の諸点が重要な要因であると考えた。 1) 触媒相と有機相との接触界面の面積 2) 触媒相の厚さ 3) 反応系の撹搾エネルギー。
これらの因子について検討し,平均粒径 240μm の固体担体に液体触媒を担持させた物を調整した.この担持触媒における液体触媒相の厚さは 4-10μm であり,十分な撹搾エネルギーを与え, PMA の結晶と触媒粒子が良く分散した状態で脱水閉環反応を行い反応速度と PMI の収率に著しい向上が認められた。この反応内容の解析の結果から,収率の向上は反応前段部分で PMA の加水分解が効果的に抑制され,それに基づく副反応の減少による PMI の選択率の向上が反応収率の改善に大きく寄与したことを明らかにした。

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