日本食品科学工学会誌
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米飯粒の連続式微小変形多重バイト試験法による食味関連物性の検討
中谷 文子辻 昭二郎
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1998 年 45 巻 8 号 p. 504-509

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抄録

連続式微小変形多重バイト試験法により,6種の米試料について,加水量を変えてバイト率の増加にともなう米飯粒の食感と関連した物性の変化を測定解析した.
(1) サイズの小さい米飯粒についても本法により10~80%バイトの多点測定を連続的に行い,バイト率の増加にともなう物性の差を有効に測定解析できることが確かめられた.
(2) 朝日はコシヒカリに比し特に内層部がかたく,また,加水量の増加によるみかけのかたさの変化が大きかった.
(3) 最も日本人のし好に適さないタイ産輸入米は,米飯粒全体としての物性をコシヒカリと比較すると,みかけのかたさは2.76~3.06倍かたく,粘りは1/5.8~1/7.8と小さかった.また,コシヒカリに比し米飯粒の外層部よりも内層部が特にかたかった.
(4) もち米の米飯は最もやわらかく粘りのある米飯であり,特に内層部が比較的やわらかい米飯であることが確かめられた.また,うるち米の約1/1.27の加水量で良質の米飯が炊飯でき,加水量によってそのやわらかさや粘りなどの物性が変化する様相が本法によりよく示された.
(5) 本法で測定した米飯粒のみかけのかたさと粘りの総計とその比の比較により,米の食味と関連した物性の差を簡便に比較できる.本法によるバランス度は従来の1点測定のそれとは異なり,米質の違いによる差がより明瞭に示された.

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