2002 年 71 巻 12 号 p. 1523-1527
表面化学反応機構の研究にとって,入射分子の並進運動エネルギーは重要なパラメーターとなる.超奮速分子線と高分解能放射光を併用した表面敏感光電子分光法を用いて,数eVの並進運動エネルギーによって誘起される新しい吸着反応がO2/Si(001)系において見いだされ,ダングリングボンドがあらかじめ終端されているか否かの違いがシリコンニ箪体のバックボンドの酸化に決定的な影響を与えることが明らかになった.さらに,入射分子の並進運動エネルギーを制御することで,室温においてもサブナノメータの酸化膜形成が可能であることが示された.