1992 年 34 巻 3 号 p. 689-694
ルートプレーニング (RP) およびクエン酸 (CA) 処理後の歯根表面に対する細胞の付着状態を知る目的で, 歯周病罹患抜去歯10本を1歯につき3分割し, 1) 未処理2) RP3) RP後CA処理のいずれか1つを施し, 35mm dish中に処理歯根片を静置し, ヒト歯肉由来線維芽細胞を播種し, 4週間培養後, 透過型電子顕微鏡で観察した。その結果, 根表面にはRP処理後もCA処理後も同様に伸長した数層の細胞が認められた。CA処理後は細胞と根表面の間に無定型物質やマイクロフィブリルなどが認められることが多く, 同部の間隙はRP処理後よりも広かった。処理歯根表面と細胞との付着状態は, セメント質と象牙質で変わりはなかった。