日本歯周病学会会誌
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歯周診断における3次元CTの有用性
町頭 三保森田 康彦瀬戸口 尚志南 睦美カンヤラツト スティン湯田 昭彦上稲葉 隆下津 昭洋谷口 八郎野井倉 武憲末田 武和泉 雄一
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2003 年 45 巻 1 号 p. 56-66

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抄録

歯周病の診査・診断におけるコンピュータ断層撮影により得られた3次元画像 (3DCT) の有用性を評価した。3DCTとデンタルX線写真により歯周治療の予後に影響を与える歯槽骨吸収や歯根形態の診断を行なった。歯周基本治療を終了した成人性歯周炎患者8名を対象とした。垂直性骨吸収, 口蓋根周囲の骨吸収, 根分岐部病変, 根面溝, 開窓, エナメル突起を診査項目とし, それらの有無を歯周外科時に確認した。読影者は歯科医師20名で, 歯周治療経験年数により3群に分けた。無作為に抽出されたデンタルX線写真, 3DCTをそれぞれ160枚ずつについて, 各診査項目の有無を5段階で判定した。診断精度は受信者動作特性 (ROC) 解析により評価した。その結果, 3DCTではデンタルX線写真に比べ同等以上の正確な診断が得られた。デンタルX線写真でも垂直性骨吸収は正確に判定されたが, 開窓, エナメル突起では正確な判定は得られなかった。また口蓋根周囲の骨吸収および根分岐部病変では歯周治療経験年数が長い程正確な判定が得られたが, 根面溝は経験年数が長いと偽陽性率が高い傾向がみられた。一方3DCTでは, 根面溝ではほぼ正確な, また他のすべての診査項目において正確な診断結果が得られ, 経験年数には影響されなかった。以上の結果より, 3DCTでは経験年数に関係なく正確な診断が可能であり, 歯周治療計画の立案や術式の決定において有用であることが示唆された。

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