日本臨床外科学会雑誌
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肝炎症性偽腫瘍の1例
児島 祐山下 潤薮内 裕也島田 健太郎中島 祥介中野 博重
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2001 年 62 巻 5 号 p. 1242-1247

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抄録

症例は51歳,女性. 1997年12月,検診で胆道系酵素異常を指摘され近医を受診.腹部CTで肝右葉後区域に腫瘤像を指摘され, 1998年1月,精査目的に当院に紹介された.血液検査では軽度の炎症反応と胆道系酵素の上昇を認めたが,ウイルス抗体,腫瘍マーカーはすべて陰性であった. US, CT, MRI,血管造影が施行されたが,画像上診断困難であったため,経皮的肝生検を行った.その結果,炎症性偽腫瘍と診断され,経過観察を行ったが,腫瘤は縮小せず,検査所見も改善しなかったため, 9月9日,肝後区域切除,胆嚢摘出術を施行した.肝炎症性偽腫瘍は原因不明の炎症性腫瘤で,比較的稀な疾患である.今回われわれは,肝炎症性偽腫瘍の1例を経験したので,過去本邦報告77例についての集計,検討結果および文献的考察を加えて報告する.

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