日本臨床外科学会雑誌
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僧帽弁置換と低位前方切除の同時手術症例
Rb直腸癌を伴う感染性心内膜炎による僧帽弁閉鎖不全症の1例
植松 正久安宅 啓二辻 義彦
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2001 年 62 巻 9 号 p. 2151-2156

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抄録

感染性心内膜炎による僧帽弁閉鎖不全症患者に出血を伴う直腸癌を併発し,双方に対して早急な手術適応があると判断し,同時手術を施行した75歳の男性例を経験した.患者は,繰り返すspike feverと咳,痰,呼吸困難,腰痛と下血を主訴に来院し,精査の結果,感染性心内膜炎による僧帽弁閉鎖不全症と直腸癌 (Rb) の併発と診断され,同時手術(僧帽弁置換術+低位前方切除術)が実施された.術後は,体液balanceを含めた血行動態のcontrolに難渋し,長期人工呼吸管理を要した.開心術と開腹術の同時手術は理想的な手段ではあるが,個々の症例に応じて,そのriskを術前に十分評価し,同時手術を行う際には,術後管理に細心の注意を払う必要があるものと考えられた.

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