日本臨床外科学会雑誌
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TAE単独で加療しえた遺残坐骨動脈瘤の1例
河岡 徹工藤 明敏平木 桜夫福田 進太郎江口 信雄鈴木 敞
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2001 年 62 巻 1 号 p. 249-253

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抄録

遺残坐骨動脈瘤は胎生初期の下肢の発達に主役をなす坐骨動脈が生後も残存し,これが動脈瘤を形成する稀な疾患である.その治療法として以前は瘤切除あるいは結紮術,必要ならば下肢血行再建術の付加といった外科的療法が中心であった.しかし,最近ではinterventional radiology (以下IVR)の発達により経カテーテル的動脈塞栓術(以下TAE)による加療例も報告されている.
今回われわれは既往に多くの疾患をもつ78歳女性の遺残坐骨動脈瘤を経験した.血管造影にて遺残坐骨動脈と膝窩動脈との間の交通がない不完全型と診断, TAE単独のみでなんら合併症の発現なく瘤の完全閉塞に成功し,瘤破裂を予防する事が出来た.
遺残坐骨動脈瘤に対するTAEは,外科的療法の様に瘤に癒着した坐骨神経を損傷する可能性もなく,安全かつ低侵襲でもある為, poor risk例や高齢者にも適応しうる非常に有用な手段である.

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