日本臨床外科学会雑誌
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塞栓摘除により一部腸管を温存できた急性上腸間膜動脈根部閉塞の1例
黒田 直樹日馬 幹弘野牛 道晃大久保 和隆河北 英明山梨 美紀夫鳥巣 良一松田 高明
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2002 年 63 巻 6 号 p. 1476-1480

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抄録

当院で塞栓除去術を施行し, second look procedureを行うことにより60cmの腸管を温存し,救命しえた上腸間膜動脈塞栓症の症例を報告する.症例は69歳の男性で突然の上腹部痛にて当院を受診した.造影CT像では上腸間膜動脈は造影されず閉塞が示唆された.腹部血管造影では上腸間膜動脈幹部に完全閉塞を認められた.発症9時間半後に緊急手術を施行した.小腸の大部分と上行結腸の一部に虚血性変化が認められ,塞栓除去術を行った. 24時間後にsecond look procedureを施行したところ60cmの小腸部分切除が施行された.術後の経過は良好で術後97日に退院となり,現在,排便のコントロール下に通常の食事でQOLは維持できている.塞栓除去術のsecond look procedureは腸管のviabilityの評価に有用であり,根部の閉塞のため血栓溶解療法のできない患者に対し推奨できる療法と考えられた.

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