日本臨床外科学会雑誌
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巨大肝転移を伴ったS状結腸癌と腎癌の同時性重複癌の1例
水崎 馨大町 貴弘斉藤 祐一中江 佐八郎
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キーワード: 重複癌, S状結腸癌, 腎癌
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2004 年 65 巻 6 号 p. 1728-1733

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抄録

症例は58歳の男性で,右季肋部腫瘤を主訴に来院した.腹部CT検査では肝右葉に径7cmと径11cm,肝外側区域(S2)に径3cm,右腎上極に径7cmの腫瘍を認めた.腹部血管造影検査では肝右葉をほぼ占める不均一に造影される腫瘍を2カ所認め,右腎上極に外側に突出するhypervascularな腫瘍を認めた. CEAは2,580ng/mlと高値であり,大腸癌の肝転移を疑い大腸ファイバーを施行した. S状結腸に内腔の2/3周を占める2型の腫瘍を認めた.以上の所見より,肝転移を伴ったS状結腸癌と右腎癌の同時性重複癌の診断で手術を施行した.手術は肝右葉切除術,肝楔状切除術(S2),右腎摘出術, S状結腸切除術を一期的に施行した.大腸癌と腎癌との同時性重複癌は非常に稀である.今回,自験例を含めた本邦報告例27例中26例に若干の文献的考察を加えて報告した.

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