日本臨床外科学会雑誌
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胃全摘後挙上腸管に発生した原発性小腸癌の1例
豊田 暢彦野坂 仁愛若月 俊郎竹林 正孝鎌迫 陽谷田 理
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キーワード: 原発性小腸癌, 胃全摘術
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2004 年 65 巻 12 号 p. 3218-3221

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抄録

胃全摘後挙上腸管に発生した原発性小腸癌の1例を経験したので報告する.症例は81歳,男性.平成14年5月10日,胃癌にて胃全摘術が施行された.以後再発症状はなかったが,平成15年5月27日,内視鏡検査にて再建挙上小腸に腫瘤性病変を認め,生検の結果group Vと診断された. CTおよびUSでは他には転移はないと判断し, 6月18日,手術を施行した.腹腔内には転移を疑う所見はなく,年齢を考慮して可及的に挙上腸管を剥離・切離し,再度Roux-Y吻合にて再建した.病理組織学的には中分化腺癌であった.自験例の発癌様式として, (1)胃癌の組織型は低分化腺癌であったこと, (2)初回手術時の腫瘍撒布にしては距離が離れすぎていること, (3)今回の腫瘍の位置が挙上前はTreitz靱帯より50cm以内の空腸であった,すなわち小腸癌の好発部位であることを考慮し,原発性小腸癌と考えた.

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