日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
超高齢者の蛋白漏出症をきたした大腸癌の1例
鶴田 淳阿部 光将宮澤 一博小林 義典
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 66 巻 6 号 p. 1394-1399

詳細
抄録

腫瘍自体より蛋白が漏出し,高度の低蛋白血症を引き起こす蛋白漏出性大腸癌を術前診断し治療した1例を報告する.症例は85歳,女性.主訴は下痢,下腿浮腫. TP 4,6g/dl, Alb 1.2g/dl, Hb 7.7g/dl, Ht 23.6%と低蛋白,低アルブミン血症,貧血を認め,大腸ファイバーにて上行結腸にほぼ全周性の進行癌を認めた.中心静脈栄養を開始したが低栄養状態改善せず, α-1アンチトリプシンクリアランス試験および99mTc-HSAシンチグラフィーを行い,蛋白漏出性胃腸症と診断した.右半結腸切除術施行後アルブミン値は正常値内に回復した.病理組織所見は低分化型腺癌でss, ly3, v1.癌細胞を有する著明に腫大化したリンパ管が認められた.蛋白漏出性胃腸症を呈した消化器癌の報告は数が少なく,中でも大腸癌は非常に稀であり若干の文献的考察を加え報告する.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top