日本臨床外科学会雑誌
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乳腺葉状腫瘍122例の臨床病理学的検討
森口 喜生三瀬 圭一菅 典道児玉 宏
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2006 年 67 巻 3 号 p. 561-567

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抄録

目的:乳腺葉状腫瘍の臨床的病態を明らかにする.方法: 1979年11月より2005年2月の乳腺葉状腫瘍初回手術例122例を対象とし,年齢分布,腫瘤径,病理組織診断,再発様式,予後などに関して検討した.結果:年齢は15歳~73歳(中央値42歳),腫瘤径は2cm未満23.0%, 2cm~5cm未満18.0%, 5cm~10cm未満50.0%, 10cm以上9.0%であった.悪性度分類では良性79.5%,境界病変10.7%, 悪性9.8%と診断された.局所再発を26例 (21.3%) に認め,再発腫瘍の病理診断では良性21例中7例(良性→境界病変4例,良性→悪性3例),境界病変2例中1例(境界病変→悪性1例)で悪性度の増加がみられた.全悪性症例16例中2例に肺転移を認め原病死の転帰となった.結論:乳腺葉状腫瘍は病理組織診断による良悪性判定が重要であり,悪性群では遠隔再発および局所再発に注意し,良性・境界病変でも局所再発,さらに再発時の悪性度の増加に留意する必要があると考えられた.

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