1959 年 12 巻 11 号 p. 777-782
研究目的機械的処理によってフィラメントリ性質の変化することはすでに知られている.伸張処理と力学的性質との関係の基礎的資料の一つとして, ビスコースレーヨン系に伸張処理, 伸張後湿処理をほどこし, 強伸度回復の挙動および応力の緩和を測定した.研究結果力学的性質とくに初期弾性率, 伸張弾性率は1一2%の低伸張処理糸でも未伸張処理糸の値とかなり異なる.0.5-0.7%以下の変形は除重後ひずみをのこきないで回復する.3%以下の変形は湿処理によって回復するが, 5%以上の変形には湿処理によっても回復しない変形が付随して起っている.したがって5%以上の高伸張処理糸は低伸張処理糸とはかなり異なった力学的挙動を示す.伸張後湿処理糸は伸張処理によらないで未伸張処理糸とほぼ類似の挙動を示す.