1966 年 19 巻 12 号 p. T301-T308
目的 よこ編み地のたて方向引っ張り挙動を解析するため, 簡単なループ模型を仮定し, 力の釣合いより荷重と伸長の関係を導く.また実際に編み地を引っ張り, 理論曲線と比較し検討を加える. 結果 1) 3個の円が互いに相接する平面モデルを考え, 荷重Pと伸びεとをθをパラメータとする式として導いた. 2) 一般に糸自身の伸びは無視できるので, n個のループよりなる編み地に対し, ループ1個当りにかかる荷重と編み地伸びは P=2EIF0(θ)/h02 ε=10.472(ng(θ)-n+1)/(1+2.732nf(θ)-1 をうる.ただしEIはループを構成する糸の曲げ剛性, h0はループの初めの高さを表わす. 3) 糸をループ状に曲げ, EIを測定する実験法を確立し, 同時に糸のばね定数kも実測した. 4) これらを理論式に入れ, 実測の引っ張り曲線と比較し, よい類似性のあることを示した. 5) ループが理想モデルに近いか, またずれていてもループの重なり部分や角度θを考慮すると, 理論と実際はよく一致することを示した.