水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
ISSN-L : 0915-1389
Original research article
国際高等教育協力における水問題・環境問題の認知構造:数量化III類による知的リソース・ニーズマッピング
山中 勤田中 正辻村 真貴大倉 博清水 英幸吉谷 純一嶋田 純開發 一郎近藤 昭彦
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 21 巻 1 号 p. 39-49

詳細
抄録

水問題・環境問題解決のための国際高等教育協力リソースについて,我が国の大学・研究機関を対象としてアンケート調査を実施した.また,5つの開発途上国(中国,インドネシア,モンゴル,タイ,およびチュニジア)において同様のニーズ調査を実施した.これらの調査の目的は,(1)水問題・環境問題に関する世界的な認知構造を明らかにすること,および(2)リソース・ニーズ間の関係性を検討すること,の2つである.回答結果を数量化?V類によって分析し,関連キーワードの認知空間を地図化したところ,水問題・環境問題は主として汚染・災害・利水の3要素(端成分)に分解可能であることが示された.また,環境保全・環境教育・環境アセスメント・生態系といったキーワードは中立的なイメージで捉えられているのに対し,地域計画・意思決定・法整備といった政策に関わるキーワードは利水と強く結びつけて認知されていることが明らかとなった.上記の認知空間におけるリソースとニーズの分布を調べたところ,国ごとに固有の分布傾向が認められた.リソース・ニーズが共に多いホットスポットは水循環・環境保全・意思決定を包含する領域であった.一方,特殊性の高い汚染・災害に関するニーズも存在しているにもかかわらず,それらに対応したリソースは絶対的に不足している現状が明らかとなった.

著者関連情報
© 2008 Japan Society of Hydrology and Water Resources
前の記事 次の記事
feedback
Top