加齢に伴って筋肉量が減少し,筋力を維持できなくなってしまうサルコペニアは高齢者の日常生活機能を低下させる.われわれは栄養摂取等の生活習慣や既往歴など,サルコペニアのリスク要因について,無作為抽出された40歳以上の地域在住男性1,783名,女性1,825名での10年間,延べ14,010回の測定の縦断的データを用いて網羅的に検討を行った.二重エネルギーX線吸収装置(DXA)での筋肉量から診断されたサルコペニアでは喫煙,運動不足,総エネルギー摂取量の不足,たんぱく質・分岐鎖アミノ酸不足,自覚的健康が良くないことなどがリスクになっていた.65歳以上のみを対象とした身体機能からの診断されたサルコペニアでもDXAでの診断の場合と同様に検討を行った.喫煙がリスクになっており,総エネルギー摂取量,ビタミンD,たんぱく質,分岐鎖アミノ酸摂取が意にリスクを下げていたが,身体活動との関連は有意ではなかった.