分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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テトラブロモフェノールブルーを用いる尿タンパク質の吸光光度定量及び目視定量
橋本 雅和手嶋 紀雄酒井 忠雄加藤 周二
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2005 年 54 巻 9 号 p. 783-788

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抄録

ウシ血清アルブミン(BSA)水溶液にテトラブロモフェノールブルー(HTBPB)を添加すると,pH 3.2において青色のイオン会合体を形成するが,Triton X-100(TX-100)を併用すると試薬空試験値が著しく低下し,かつpHのずれによる影響が少なくなる.そこで,TX-100共存下でHTBPBを用い,尿タンパク質の吸光光度定量法の最適条件を検討した.極大吸収波長は625 nmに存在し,BSAが0~20 ppmの濃度範囲で良好な直線関係を得た.検出限界は,試薬空試験値の3 σとした場合0.16 ppmで,BSA濃度5 ppm及び10 ppmをそれぞれ4回繰り返し測定した際の相対標準偏差は0.91% 及び0.11% であった.また,TX-100非共存下におけるTBPB結合BSAをメンブランフィルター(MF)に捕集後,その色調変化に基づく目視定量法の検討を行った.MFを用いる目視法において,BSAが0~9 ppmの濃度範囲で1 ppmごとの標準色列を作成することができた.HTBPBを用いる吸光光度定量法及びMF目視法を腎機能障害患者の尿タンパク質の定量に応用した.その結果,両法とも市販試験紙法による結果とよい一致を示した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2005
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