臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
症例報告
印環細胞癌に合併した全身性筋炎および亜急性感覚性ニューロパチーの1例
安田 千春薬師寺 祐介徳永 藏原 英夫西野 一三
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 50 巻 4 号 p. 246-251

詳細
抄録

患者は72歳女性である.緩徐進行性の両下肢脱力とジンジン感を主訴に来院した.両上肢遠位と両下肢近位の筋力低下と造影MRIで腰部神経根に増強効果をみとめた.筋生検で筋内鞘へのリンパ球浸潤と縁取り空胞様変化をみとめ封入体筋炎をうたがったが,ステロイド反応性であり,多発筋炎に準じ悪性腫瘍の検索をおこなった.結果早期胃癌を確認し,胃全摘術後の病理診断は印環細胞癌であった.本腫瘍と全身性筋炎と亜急性感覚性ニューロパチーの合併は初報告例である.本例は本腫瘍の神経・筋への全身性遠隔効果の可能性を示唆した.

著者関連情報
© 2010 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top