日本建築学会の建築工事標準仕様書・同解説JASS 5鉄筋コンクリート工事(以降,JASS 5という)や土木学会のコンクリート標準示方書(以降,コンクリート示方書という)で要求する乾燥収縮率は,JIS A 5308:2009(レディーミクストコンクリート)において品質要求事項として規定されていない。そのため,大都市圏の建築工事に出荷経験のある一部の生コン工場を除いては,乾燥収縮の規制に対する具体的な対策はもとより,自社で出荷するコンクリートが購入者の要求する品質を満足するか否かについても把握していない工場も見受けられる。このような状況を受け,全国生コンクリート工業組合連合会(以降,全生連という)では,購入者に対する乾燥収縮率の保証の第一歩として,平成20年度と平成21年度に全国の生コン工場を対象として乾燥収縮に関する実態調査を行った。この実態調査では,使用材料の品質,配合の相違,硬化コンクリートの品質の相違が乾燥収縮に及ぼす影響など,乾燥収縮対策の検討に必要となる基礎情報を収集した。