栄養学雑誌
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熊本県一農山村に居住する高齢者の健康状態と食・生活習慣との関連について
北野 直子江藤 ひろみ北野 隆雄
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2010 年 68 巻 2 号 p. 78-86

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抄録

著者らは,熊本県の一地域に居住する70歳以上の男女高齢者399名を対象に,食生活と歯の状態を含む健康に関するアンケート調査を行った。まず,対象者の世帯構成を3つのタイプ(単身世帯,夫婦のみ世帯,複数世帯)に分けて解析を行った。単身世帯の者は夫婦のみ世帯や複数世帯の者に比べたんぱく質源となる肉・魚類,大豆製品の摂取が少なかった。単身世帯高齢者に対する低栄養予防のための栄養教育のプログラムが必要であると考える。さらに,対象者を残存歯数により3群:無し(残存する歯が無い),少数(残存歯数1~19本),普通(残存歯数20本以上)に分けて解析を行った。残存歯数が普通の者は,無しあるいは少数の者に比べ食べることや睡眠は良好で,また活動的で積極的な日常生活を送っていた。以上のことから高齢者のQOLの維持には家族形態や歯の状態が影響することが明らかになった。地域での高齢者の生活支援には歯科保健プログラムも続けることが重要と考える。
(オンラインのみ掲載)

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© 2010 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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