園芸学研究
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育種・遺伝資源
ニンポウキンカン珠心胚へのコルヒチン処理によって得た倍数体の特性とそれらの三倍体育種への利用
糠谷 綱希太田 知宏安田 喜一八幡 昌紀國武 久登小松 春喜新居 直祐向井 啓雄原田 久高木 敏彦
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2011 年 10 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

ニンポウキンカン種子へのコルヒチン処理から得た四倍体6系統(No.5,No.6,No.8,No.12,No.18およびNo.19)の倍数性と発生起源の確認,樹体および果実の特性調査を行うとともに,二倍体との交雑による三倍体の作出を試みた.これら6系統は,CMA染色による核型分析により,すべて珠心胚由来であることが推察された.倍数性解析を行ったところ,No.8は二倍体と四倍体の倍数性キメラであり,その他5系統は四倍体であった.四倍体5系統は,二倍体と比較して葉,花および花粉が大きく,花粉稔性が低くなるなどの四倍体特有の形質を示した.一方,果実は二倍体と比較して四倍体の方が厚皮,高糖度および少核となり,キンカンにとって望ましい形質を有していた.No.8は表皮系が二倍体同様の特徴を示したものの,その他の特性は四倍体と類似した.二倍体との正逆交雑におけるほとんどの交雑組合せで三倍体が得られた.

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