日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
有茎広背筋弁による気管支断端閉鎖術が有効であった肺癌右肺摘除術症例
佐々木 正人池田 岳史木村 雅代平井 誠也井隼 彰夫田中 國義
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2008 年 22 巻 2 号 p. 160-163

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抄録

右気管支中枢までおよぶ原発性肺癌にて低栄養状態および局所の炎症のために直接縫合や分岐部形成術が危険と判断し,縫合不全回避のため有茎広背筋弁による気管支断端閉鎖術を行い,有効であった症例を経験したので報告する.症例は,65歳,男性.入院時検査データ上,白血球およびCRPの著明な上昇,血中アルブミン値,コリンエステラーゼ値の低下を認めた.入院時胸部X線および胸部CTにて右肺の無気肺,肺炎像および右主気管支の中枢に腫瘤陰影を認めた.精査中に患側からの浸出物の健側肺への流入が原因で換気維持が困難となり,緊急手術となった.起始部で右主幹を切断すると,黄白色の腫瘍が気管分岐部にポリープ状に突出するように認められた.右肺摘除術の後,右気管支断端を有茎広背筋弁により閉鎖した.術後合併症を認めず,経過良好にて退院した.

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