日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
胸腔鏡下に切除した前縦隔血管腫の1例
砥石 政幸近藤 竜一矢満田 健
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2011 年 25 巻 7 号 p. 782-788

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抄録

症例は73歳,男性.CT検診にて前縦隔腫瘤を指摘され当科を受診した.胸部CTにて前縦隔左側に3cm大,辺縁一部不整だが境界明瞭,辺縁に優位な造影効果を伴う腫瘤を認めた.1ヵ月後のCT再検にて腫瘤に著変はなかったが,嚢胞化を伴う胸腺腫を疑い,診断および治療目的で胸腔鏡下手術の方針とした.左胸腔よりアプローチし,腫瘤は暗赤色,弾性軟であり,胸腺左葉と一塊に切除した.病理組織学的には毛細血管の増生よりなり,前縦隔に発生した毛細血管性血管腫と診断した.縦隔発生の血管腫は稀であるが,適応を厳選すれば体位やアプローチの工夫などで胸腔鏡下に安全に診断・治療ができると考えられた.

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