2008 年 61 巻 3 号 p. 127-131
グリセリン浣腸後に直腸穿孔,直腸周囲膿瘍を来たした維持血液透析患者の1例を報告する.症例は50歳代男性,便秘の治療を目的としてグリセリン浣腸を行い,その後肛門周囲痛を認めたため前医を受診した.当初は画像上明らかな所見がなく,経過を観察された.浣腸後18日目,肛門周囲痛の増悪および発熱のために入院,直腸周囲膿瘍と診断され,外科的処置のため当院に移送された.開腹手術を行わず,経皮的穿刺ドレナージを行ったところ経過は良好であった.
グリセリン浣腸は日常的に行われているが,直腸穿孔などの合併症をおこす可能性に注意する必要がある.