日本食生活学会誌
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論文
黒大豆の煮汁と煮豆ペースト及び蒟蒻ゾルの添加が水羊羹の品質に及ぼす影響
木村 友子加賀谷 みえ子鬼頭 志保内藤 通孝菅原 龍幸
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2010 年 21 巻 2 号 p. 139-147

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抄録

  黒大豆の煮汁と豆ペースト及び蒟蒻ゾル置換が水羊羹の品質に及ぼす影響について性状, 物性, 離漿率, 抗酸化性, 嗜好性により検討した。
1) 黒大豆煮汁の試料A (基本 : 煮汁製品) に比べ, 試料B, C, D, E (試料Aに豆ペーストそれぞれ10, 20, 30及び40%置換製品) は, 豆ペーストの置換率の増加につれ, 水分量と離漿率は共に有意に漸減した。また, 水羊羹の色調では, L*, a*, b*値は漸増したが, 試料Aの濃黒褐色が試料B, C, D, Eの豆ペーストの置換率の増加に伴い, 淡くなり色調が変化した。
2) 官能評価では豆ペーストの置換量は, 30%が最も良好で, 黒大豆の微妙な風味を感じ, 総合的な好みで好まれた。
3) 総ポリフェノール及びDPPHラジカル捕捉活性は試料A, B, C, D, Eは試料S (煮汁と豆ペースト無置換) に比べ, 煮汁と豆ペースの使用により, 何れも高い抗酸化効果を示した。
4) 試料AとBに蒟蒻ゾル5%置換した試料A-3とB-3は試料A及びBに比べて食感が硬くなり, 離漿が抑制された。
  以上のことから, 黒大豆の煮汁と豆ペーストの利用は, 水羊羹の抗酸化性の機能性向上に寄与し, 食味もよく嗜好的にも好まれ, かつ, 豆ペースト及び蒟蒻ゾル置換は製品の物性が硬くなり, 著しく離漿を抑制し, 品質を高めることが示唆された。

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© 2010 日本食生活学会
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