日本救急医学会雑誌
Online ISSN : 1883-3772
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症例報告
集団化学災害として対応した消火剤散布事例 ―とくに「NBCテロ対処現地関係機関連携モデル」に照らし合わせた検証―
阿南 英明村田 厚夫赤坂 理野崎 万希子奥田 由紀八鍬 秀之佐藤 厚夫
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2007 年 18 巻 1 号 p. 10-16

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抄録

消火剤が散布され多数傷病者が搬送された事例に対し集団化学災害に準じた対応をした。各種関係機関と連携して対処した内容を, 内閣官房危機管理監の下で作成された「NBCテロ対処現地関係機関連携モデル」に照らし合わせて検証した。発災現地における消防, 警察間の連携の困難性と, 医療機関と現地調整所との双方向性の情報交換のためには早期から医療機関へ派遣された消防連絡員による無線を利用するなどの工夫が必要であること, そして日本中毒情報センター活用のための認識拡大の重要性などを指摘した。また, 多数傷病者が医療機関に受診した際のコンピュータソフトを利用しての情報管理の有用性と, トリアージに際して, 化学災害特有の基準の導入と弾力的なカテゴリー運用が重要であること, NBC災害時には分散搬送でなく集中搬送も考慮すべきであることなどを報告した。

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© 2007 日本救急医学会
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