日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
IgG4 関連疾患による冠動脈周囲腫瘍の1例
岡本 雅彦南雲 正士後藤 哲哉吉武 明弘三木 隆久大住 幸司
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2010 年 39 巻 4 号 p. 230-233

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抄録

IgG4関連疾患はさまざまな臓器に起こりうるが,多くは腺管臓器においてであり,心血管領域での報告は少ない.今回われわれはIgG4関連疾患による冠動脈周囲腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は69歳男性.胸部CT上,2年前から増大し続ける,冠動脈周囲の腫瘍性病変にたいし,確定診断目的で開胸生検術を行った.病理組織診断では線維性結合組織内に形質細胞とリンパ球の密な増生を認め,好酸球も認められた.全体的に線維化が目立ち,一部で肥厚した膠原線維をともなっていた.免疫染色では形質細胞の多くはIgG4陽性であり,生検後測定した血漿IgG4濃度は1,080 mg/dlと高値を示した.以上からIgG4関連疾患の冠動脈周囲腫瘍と診断した.心血管領域のIgG4関連疾患は非常に稀であり,本症例はIgG4関連疾患による冠動脈周囲炎が腫瘍性病変を呈したものと思われた.

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