日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
術前診断が困難であり追加切除を要したFarrarの診断基準を満たす原発性胆嚢管癌の1例
平光 高久永田 二郎大西 英二中西 賢一大屋 久晴西 鉄生間瀬 隆弘川崎 晋吾橋本 昌司
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2009 年 42 巻 11 号 p. 1687-1692

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抄録

 症例は70歳の男性で,主訴は心窩部から右側腹部の痛みであった.腹部USにて胆嚢腫大,胆泥を認め,ERCP,drip infusion cholangiography CT(以下,DIC-CT)で胆嚢は描出されなかった.胃内視鏡検査にて胃角部小彎後壁側に1型胃癌を認めた.さらに,胆泥などによる胆嚢管の閉塞が疑われたため,幽門側胃切除術,胆嚢摘出術を施行した.切除標本にて胆嚢管の硬化を認めた.病理組織学的には胆嚢管に漿膜下まで達する腺癌を認め,切離断端にも腫瘍組織を認めた.後日,肝外胆管切除術,肝十二指腸靭帯周囲リンパ節郭清術,胆管空腸吻合術を施行した.最終的な病理組織学的検査で,切除組織に腫瘍の遺残を認めず,Farrarの診断基準を満たす胆嚢管癌と診断した.術後2年経過したが,再発を認めていない.Farrarの診断基準を満たす症例はまれであり,自験例を含む本邦報告37例の検討を行った.

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