1996 年 9 巻 1 号 p. 17-20
非糸球体性血尿の原因として注目されているNutcracker現象における超音波ドップラー法の有用性について検討した。
血尿を主訴とし,腹部超音波検査および腎血管造影でNutcracker現象と診断した5症例に対し,腹部超音波ドップラー法を施行し,腎静脈の血流動態を検索した。その結果,全例で腎静脈血流速度では左側が右側に比し減少し,腎静脈血流量も同様に左側で右側に比し低下した。これらは,側副血行部への血流量の増加のためと考えられ,Nutcracker現象の血流動態を反映していると考えられた。
Nutcracker現象において,超音波ドップラー法は侵襲がなく外来でも施行でき,血管造影とほぼ同様の血流動態を得ることが可能で,本疾患の診断において有用であると思われた。