日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後早期に局所再発および肝転移をきたした膵神経内分泌細胞癌の1例
仲田 健男二川 康郎藤岡 秀一岡本 友好穴澤 貞夫福永 眞治矢永 勝彦
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2008 年 69 巻 5 号 p. 1213-1217

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抄録

症例は60代の男性で,左下腹部痛を主訴に精査加療目的にて入院.既往歴は糖尿病と胆石症にて胆嚢摘出術後であった.腹部エコーでは膵尾部に42×40mm大の腫瘍を認め,造影CTでは同病変は造影効果が乏しく,一部が脾臓およびGerota筋膜への浸潤を認めた.膵癌の術前診断でGerota筋膜合併膵体尾部脾摘術を施行した.組織所見では病理免疫染色検査にてクロモグラニンA(+),シナプトフィシン(-)でありneuroendocrine carcinomaと診断した.Pt,50×40×40mm,結節型,medurally,INFβ,ly0,v0,pT4{pS(-),pRP(+),pPL(+),pOO(+),PCM(-),DPM(-)},pN1,sM0,fStageIVaと診断した.切除断端および剥離面では断端陰性であった.術後3カ月で局所再発および肝転移を認め,術後4カ月で癌死された.膵神経内分泌細胞癌は稀な疾患であるが,発見時すでに進行し予後不良なことが多いため,早期診断と有効な補助療法の確立が急務であると考えられた.

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© 2008 日本臨床外科学会
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