日本臨床外科学会雑誌
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症例
十二指腸内へ進展した巨大胆管腺腫の1例
稲垣 均横山 正菊池 学横山 泰久
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キーワード: 胆管腺腫, 十二指腸, ERCP
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2008 年 69 巻 1 号 p. 155-159

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抄録

症例は52歳,男性.既往歴に特記すべきものなし.嘔気,食欲不振を主訴に来院.上部内視鏡検査にて,巨大な腫瘍による十二指腸内の閉塞様所見を認めたため,入院となった.入院時検査所見では,軽度肝機能障害を認めるのみで,腫瘍マーカーは陰性であった.腹部超音波では膵頭十二指腸領域に4cm大の腫瘍を認め,ERCPにて,十二指腸乳頭部の巨大な腫瘍であり,生検では,管状腺腫であった.超音波内視鏡所見では,十二指腸壁内に限局していると判断された.以上から,十二指腸乳頭部腫瘍の診断にて,膵頭十二指腸第II部切除術を行った.病理診断の結果,十二指腸内胆管を主座に十二指腸内へ進展した乳頭管状腺腫であり,悪性所見を認めなかった.総胆管腺腫は,稀な疾患であり,なおかつ十二指腸内へ進展した巨大腫瘍を呈した症例の報告は,検索しえた範囲内ではなかった.

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© 2008 日本臨床外科学会
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