日本臨床外科学会雑誌
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症例
特発性小腸穿孔の1例
下沖 収皆川 幸洋小松 英明板橋 英教阿部 正上杉 憲幸菅井 有
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2009 年 70 巻 4 号 p. 1077-1080

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抄録

稀な特発性小腸穿孔の1例を経験したので報告する.
症例は17歳,男性.家族歴,既往歴はなし.就寝後に上腹部痛と嘔吐が出現したため来院した.来院時,腹部全体の圧痛と筋性防御を認め,腹部単純X線撮影にて両側横隔膜下に遊離ガス像を認めた.上部消化管内視鏡検査にて胃十二指腸に異常を認めなかった.原因不明の消化管穿孔の診断で手術を施行した.Treitz靱帯より55cm肛門側空腸に約15mmの穿孔を認めたため,穿孔部を含む空腸部分切除を施行した.切除標本では,いわゆるpunched out状の穿孔を認める以外に異常所見を認めなかった.病理組織学的所見では,腸管壁全層の完全断裂を認めたが,粘膜の漿膜側へのslidingは認めなかった.急性炎症細胞浸潤を伴う腹膜炎を伴っていたが,その他の病的所見は認めず,特発性小腸穿孔と診断した.術後経過は良好で,術後第11病日に軽快退院した.

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© 2009 日本臨床外科学会
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