日本臨床外科学会雑誌
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症例
形成術後6年に小腸絞扼性イレウスで発症した外傷性横隔膜ヘルニア再発の1例
伊藤 貴洋近藤 昭信田中 穣長沼 達史伊佐地 秀司
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2011 年 72 巻 2 号 p. 323-327

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抄録

症例は59歳,男性.25歳時に交通事故で受傷し胸髄損傷をきたし下半身麻痺となっていた.35歳時に左横隔膜ヘルニアを指摘されたが,放置していた.平成15年上腹部痛を主訴に当院を受診.左外傷性横隔膜ヘルニアの診断でヘルニア門を直接縫合閉鎖し修復術を施行.以後無症状であった.平成21年急激に発症した胸痛,背部痛を主訴に当院に救急搬送.CTで左胸腔内に脱出した小腸と腹腔内小腸の拡張を認めた.横隔膜ヘルニア再発,絞扼性イレウスと診断し緊急手術を施行した.開腹すると拡張した小腸とともに平成15年手術時の外側にヘルニア門を認め,胸腔内に小腸が嵌頓していた.腹腔内へ脱出した小腸を引き出すと,約150cmの範囲で絞扼壊死しており,小腸部分切除術を施行した.ヘルニア門は3cm大であったが,直接縫合閉鎖は不可能であり,腹壁側の腹横筋をflapとし翻転させ,ヘルニア門を閉鎖した.成人横隔膜ヘルニアの再発は非常にまれなものであるが反省すべき症例と思われたので文献的考察を加え報告する.

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