全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
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原著
変形性膝関節症に伴う痛みと運動機能に対する鍼治療の効果
鍼の刺入深度の違いによる治療効果の検討
宮本 直伊藤 和憲越智 秀樹山田 充彦大橋 鈴世糸井 恵
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2009 年 59 巻 4 号 p. 384-394

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抄録

【目的】変形性膝関節症 (以下、 膝OA) に伴う運動機能と痛みに対し、 鍼刺入深度の違いが及ぼす効果を検討した。
【対象】膝OAと診断された患者のうち研究条件に適合した患者26名。
【方法】コンピュータによりA) 浅刺群 (3mm前後の刺入)、 B) 深刺群 (10~20mm刺入) の2群に分類し、 下肢の圧痛点10ケ所に対して10分間の置鍼を行った。
【評価】膝痛の主観的な評価としてvisual analogue scale (VAS) を、 運動機能の客観的な評価としてTimed Up & Go test、 20m歩行時間、 階段昇降時間を、 膝OAのQOL評価としてWestern Ontario and MacMaster Universities osteoarthritis index (WOMAC) をそれぞれ4週ごとに計4回記録した。
【結果】痛みの程度は両群ともに治療前と比較して有意に改善したが (p<0.05)、 客観的な運動機能はすべての測定項目において、 治療前と比較して浅刺群のみ有意に改善した (p<0.05)。
【結語】浅刺は痛みと運動機能を改善しQOL向上に寄与したことから、 膝OAの症状に対する、 より効果的な治療方法である可能性が示唆された。

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© 2009 社団法人 全日本鍼灸学会
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