2012 年 68 巻 2 号 p. 121-132
現行の設計では大規模地震に対して,構造物にある程度の損傷を生じることを前提としているが,土木構造物は長期間供用されることが多く,設計耐用期間内に複数回の損傷を受ける場合が十分想定される.損傷した構造物を短期間に復旧することは,構造物に要求される性能の一つとして位置づけられ,復旧性等と呼ばれている.これに関連して,一度損傷した部材を修復した後の部材性能について研究が進められているが,複数回の損傷と修復を繰り返した場合の部材性能について研究した事例はほとんどない.そこで,本研究では,損傷と修復を繰り返したRC部材の性能に関する実験的な検討を実施した.その結果,再修復後の部材性能は,初回の修復後と同様の傾向を示し,修復前の軸方向鉄筋の損傷程度と補修方法の影響を受けることを明らかにした.