日本透析医学会雑誌
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症例報告
微小変化群のネフローゼ症候群に合併した急性腎障害に血漿交換療法を併用した2例
小口 英世村上 円人荒木 崇志目黒 真理子橋口 明典佐藤 崇神戸 香織重原 理宏
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2011 年 45 巻 2 号 p. 179-185

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抄録

微小変化群のネフローゼ症候群に合併した急性腎障害に対して血漿交換が著効した2例を経験したので報告する.症例1は39歳男性,症例2は33歳女性である.2例とも,メチルプレドニゾロンのパルス療法を行ったが,急性腎障害となり血液濾過透析が必要になった.血清アルブミン濃度は,症例1が1.8mg/dL,症例2が1.6mg/dLといずれも低値であった.アルブミンの静脈内投与は急性腎障害に対していずれも無効であった.3回の血液濾過透析を施行したが,急性腎障害が改善しないため5%アルブミン溶液による血漿交換を行った.血漿交換の終了時期には尿量は著増し,その後急速に腎機能は改善し,その後の血液濾過透析は不要となった.腎生検所見は微小変化群の所見であり,著明な足突起の癒合を伴っており,急性尿細管壊死の所見は認めなかった.蛋白尿は血漿交換後に症例1では3日後から,症例2では翌日から減少し始めた.血漿交換の急性腎障害に対する有効性は単に重症の低アルブミン血症の補正のみでは説明は困難であると考えられた.血液中に存在する何らかの病因物質の除去とステロイドパルス療法との相乗効果が関与していた可能性が示唆された.

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© 2011 一般社団法人 日本透析医学会
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