2010 年 5 巻 2 号 p. 338-341
【緒言】塩酸イリノテカン誘発の下痢は治療の継続や, QOLに影響を及ぼし, 時に致死的なものとなるため, 注意が必要である. その対策には塩酸ロペラミドが有効とされているが, 進行消化器系がんでは経口投与が困難な場合もある. 今回, 消化管狭窄のため経口投与が困難な症例で, 塩酸イリノテカン誘発性下痢に対して酢酸オクトレオチドを適応した. 【症例】61歳, 進行性胃がんの男性で, 塩酸イリノテカン100mg/m²を毎週投与法にて治療を開始したところ10日目に下痢が発現した. しかし, 同時期に消化管狭窄症状が悪化したため塩酸ロペラミドを使用できず, 酢酸オクトレオチドを適応した.適応翌日には下痢回数が1日20回から1日4回へと改善を示した.【結論】塩酸イリノテカン誘発遅発性下痢に対して酢酸オクトレオチドは有効な対処法の1つである. Palliat Care Res 2010; 5(2): 338-341