脳卒中
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症例報告
病巣と対側の瞳孔散大を認めた被殼出血の1例
亀田 知明土井 宏冨田 敦子杉山 美紀子釘本 千春児矢野 繁鈴木 ゆめ黒岩 義之
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2009 年 31 巻 5 号 p. 328-331

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抄録

症例は76歳男性.重度の意識障害(JCSIII-200)と右片麻痺を発症して入院した.頭部CT検査で左側の被殻から前頭葉にかけて著明な正中構造偏倚を伴う血腫を認め,左被殻出血と診断した.入院時の神経学的所見で右側への眼球共同偏倚と右眼の瞳孔散大が合併し,責任病巣の推定が困難であった. 脳MRI検査を行ったところ,正中構造偏倚に伴う中脳の右側への歪曲と右傍正中領域の梗塞巣を認めた.被殼出血における病初期の対側瞳孔散大はまれな症候で,病態も不明な点が多いが,血腫の圧排による対側中脳梗塞が原因となる場合があることを報告した.

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© 2009 日本脳卒中学会
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