脳卒中
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原著
高齢者急性期脳梗塞におけるrt-PA静注療法の検討
小野 恭裕豊嶋 敦彦豊田 康則蔵本 智士勝間田 篤河内 正光松本 祐蔵
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2011 年 33 巻 3 号 p. 351-356

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抄録

【目的】急性期脳梗塞に対するrt-PA静注療法の中で,われわれは,特に高齢者へのrt-PA投与において症候性頭蓋内出血と転帰に関して検討した.【方法】2007年1月から2010年12月までに当院に入院した脳梗塞患者1263例のうちrt-PA静注療法を行った患者130例を対象とした.そのうち80歳未満の72例(以下80歳未満群と略)と80歳以上の58例(以下80歳以上群と略)を比較検討した.rt-PA投与後,CTおよびMRIで頭蓋内出血の有無を検索した.【結果】症候性頭蓋内出血は80歳未満群で5例(7.1%),80歳以上群で4例(6.9%)認め,両群間に有意差は認めなかった(オッズ比1.21; 95%CI 0.04–2.39; P=0.6174).3カ月後のmodified Rankin Scale (mRS) 0–1は80歳未満群が30.0%に対し,80歳以上群は8.8%で,80歳未満群の方が有意に高く(オッズ比7.20; 95%CI 6.05–8.34; P=0.0009),mRS 6(死亡)は80歳未満群が9.0%に対し,80歳以上群は19.3%で,80歳以上群の方が有意に高かった(オッズ比6.52; 95%CI 5.39–7.65; P=0.0015).【結語】症候性頭蓋内出血に年齢因子の関与は有意なものとはいえなかった.転帰には年齢因子が関与することが示唆された.

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© 2011 日本脳卒中学会
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