化学工学論文集
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分離工学
揮発性有機化合物の非理想系二成分吸着平衡の測定と解析
姫野 修司大久保 賢一藤田 昌一
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2006 年 32 巻 1 号 p. 79-87

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抄録

本研究では,非理想吸着相溶液(Non-ideal Adsorbed Solution: NAS)理論を用いて,活性炭BPLに対する揮発性有機化合物類(VOCs)の二成分吸着平衡の相関を検討した.まず,ヘッドスペースガスクロマトグラフィー(HSGC)法を用いて,293,323,353 Kにおけるメタノール,アセトン,ベンゼン,ヘキサンの吸着等温線および293 Kにおけるトルエンの吸着等温線を相対圧2×10−7–1×10−2の範囲で測定した.また,トルエン/ベンゼン,ベンゼン/アセトン,ヘキサン/アセトンの二成分吸着平衡をHSGC法と流通法を用いて測定した.そして,二成分吸着について理想吸着相溶液(Ideal Adsorbed Solution: IAS)理論による解析を行った結果,極性が類似しているベンゼン/トルエンでは推算が可能であったが,極性の異なるVOCを組み合わせた二成分系(ベンゼン/アセトン系,ヘキサン–アセトン系)においては予測が困難であった.一方,NASではIASに比べて高精度での相関が可能であった.さらに,NASは共沸点を示す疎水性のY型ゼオライトに対するトルエン/1-プロパノール系においても二成分吸着平衡の相関が可能であった.

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© 2006 公益社団法人 化学工学会
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