2009 年 60 巻 4 号 p. 435-442
近年,臨床において漢方薬を治療に用いる医師が増加し,西洋薬とともに漢方薬が処方される機会が多くなってきた。本研究では,慶應義塾大学病院漢方クリニックに来院した外来患者を対象とし,漢方薬に対する患者の認識およびコンプライアンスなどについてアンケート調査を行った。
98%の患者が顆粒剤の漢方薬を服用しており,そのうち約3割は「味がまずい」などの理由で飲みにくいと回答した。60%の患者は漢方薬を1日3回服用しているが,昼に飲み忘れる場合が多く,1日の服用回数として2回を希望している患者が多かった。また,漢方薬の剤形として顆粒剤と並んで錠剤を希望している患者が多かった。
本研究の結果より,漢方専門外来受診患者の漢方薬に対する認識が明らかとなった。今後,医師および薬剤師は,漢方薬に対する患者のこのような認識を把握し,患者に適した治療を行っていく必要があると考えられる。