2008 年 49 巻 6 号 p. 255-259
C型慢性肝疾患患者における肝がんは一旦発生すると根治治療後も肝内転移や多中心性再発が極めて高率におきる.IFNが投与可能となり著効群・肝機能改善群において肝がんの発生率低下作用が報告され,さらに最近では進行肝がんに対する治療として抗がん剤との併用で相加相乗的な有効性も報告されている.そこで今回我々は肝がん治療後にウイルス排除とともにIFN(の抗腫瘍効果)による肝がんの再発予防効果を目的としIFN投与を施行しえた8例について検討した.肝がん治療は初発例1例,再発例7例でIFN投与治療の結果は著効群が4例とそれ以外の群が4例であった.そしてIFN治療後著効群からは2例再発したが,再発腫瘍の治療後を含め全例無再発で極めて予後良好で,著効以外の症例は肝がんの再発を繰り返し対照的な結果であった.肝がんの根治治療後のIFN治療はウイルスが消失した場合,その後の肝がん再発予防に大変重要であると考えられた.