西日本皮膚科
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綜説
無菌性膿疱の形成機序
—角層へ向けての白血球表皮内浸潤における補体の役割および好中球·角層細胞相互作用—
加藤 泰三照井 正田上 八朗
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1990 年 52 巻 5 号 p. 881-889

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抄録

膿疱性乾癬や掌蹠膿疱症などにみられる無菌性膿疱は, いずれも角層直下に形成される。また, 肉眼的には膿疱形成のみられない乾癬においても好中球は角層下に集積する。これらの無菌性膿疱症の組織像からは, 病変部に白血球の浸潤を引き起こす走化性因子が存在することが強く示唆される。実際, 病変部角層には補体C5aアナフィラトキシンが存在する。これを含む鱗屑抽出液のフラクションは走化性因子として作用するだけではなく, 好中球の活性酸素の産生を誘導する。また, 正常人の角層にin vitroで血清を作用させると抗角層抗体の存在如何にかかわらず, alternative pathwayを介して補体の活性化が起こり, C5aが産生される。さらに同時にできるC3bにより角層はオプソニン化され, C3bリセプターを介して好中球と反応し, 好中球の化学発光を誘導する。これら一連の過程が無菌性膿疱の形成に深く関与している可能性が考えられる。

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© 1990 日本皮膚科学会西部支部
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