西日本皮膚科
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症例
棘状苔癬
—自験2例および本邦報告例の検討—
内田 隆夫渡辺 秀晃末木 博彦飯島 正文
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2001 年 63 巻 2 号 p. 127-132

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抄録

症例1: 67歳の男性。小児期より特に誘因なく顔面·躯幹·上肢などに,棘状に突出する丘疹が出現していたが放置していた。自覚症状のない粟粒大の毛孔一致性丘疹が上記部位に多発集簇し,大小の局面を形成。一部では角化性の棘状突起を伴っていた。病理組織学的には開大した毛嚢に一致して柱状に突出した角質塊がみられ,毛包周囲にはリンパ球浸潤を伴い,原発性棘状苔癬と診断した。治療としてサリチル酸ワセリン外用を行ったが無効であった。症例2: 82歳の女性,下腿伸側を中心に,軽度のそう痒を伴う粟粒大の毛孔一致性丘疹が多発集簇し,おろし金様の局面を形成。丘疹の頂点には角化性の棘状突起物を伴っていた。皮脂欠乏性湿疹を合併しており,一部では苔癬化局面も認められた。病理組織学的には開大した毛嚢に一致して柱状に突出した角質塊がみられ,毛包周囲にはリンパ球浸潤を伴っていた。続発性棘状苔癬と診断し,治療としてヘパリン類似物質,吉草酸酢酸プレドニゾロン,10%サリチル酸ワセリンの外用を行ったところ皮疹は約1ヵ月で軽快した。本症の本邦報告例56例を集計し,考察を加えた。

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© 2001 日本皮膚科学会西部支部
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